上記の解説の通り、市街化調整区域は市街化を
「抑制」する地域になります。
抑制とは「抑えとどめること」。
裏をかえせば、一般的に『市街化』に
あたる建物の建築が、可能になる場合も
あるということです。
具体的には、都市計画法第34条の
各号がそれにあたります。
第三四条 前条の規定にかかわらず、市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。
※引用:都市計画法
つまり、ある一定の条件で、
定められた手順を踏めば、
調整区域でも開発行為
(建物を建てる為に土地を整理すること)を行い、
建物を建てる事が可能です。
その条件は「各号」に定められており、
特に一般の皆様が気になるであろう
「市街化調整区域に家を建てる事ができるの?」
という疑問に関連してくるのは
「都市計画法34条11号」と
「都市計画法34条12号」の2つです。
条文に記載があるように、都道府県、
または市町村がそれぞれ条件を定めて
規制の緩和を行っております。
以下、埼玉県の川越市の場合を例に、
それぞれ解説をさせて頂きます。
【市街化調整区域】都市計画法34条11号~埼玉県川越市を例に~ まず、都市計画法34条11号の条文を確認してみましょう。
“十一 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの”
※引用:都市計画法
・市街化区域に隣接している
・約50以上の建築物が連なっている地域
の中で、都道府県または市町村が定めた地域
であれば開発行為が行えます。
つまり、家を建てる事ができます。
11号~川越市の場合
埼玉県川越市では、この都市計画法
34条11号という条例が
2006年5月18に施行となりました。
川越市の場合、11号の対象となる区域の指定は
「ここからここはOKですよ~」
という線引きを行わず、区域に該当するか
どうかを道路や排水等の要件による文書の指定
となっておりました。
また、住居用の宅地の場合
「最低敷地面積200㎡」という条件もあります。
その要件・条件をクリアした土地に
ついては「宅地」として売りにだされて、
「誰でも家を建てる事ができる土地」として
一般の人々が購入できる事ができるという事です。
※注意※
2018年11月現在、川越市では都市計画法34条11号は廃止されています
(2011年1月の条例改正より廃止)。
よって、現在、川越市では新しくこの34条11号を使って
調整区域を宅地として家を建てる事はできなくなっております。
ただし、
・法令が施行されていた期間に34条11号で
建築許可を取得していた土地がまだ市場に
出回らずに眠っており、今後売りにだされる
・法令が施行されていた期間に34条11号を利用して
建築された建物(または土地のみ)が、売りにだされる
等の可能性はございます。
【市街化調整区域】都市計画法34条12号~埼玉県川越市を例に~ 12号についても条例の原文を確認してみましょう。
“十二 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの”※引用:都市計画法
「都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等
の用途を限り定められたもの」
という記載がありますね。
つまり、
「諸条件は都道府県がしっかり決めてね~」
という事です。
そこで、続いて埼玉県の条例を確認してみましょう。
“1 開発行為を行う者
開発行為を行う者は、社会通念に照らし、新たに自己の居住のための住宅を建築することが相当と認められる者であって、次のいずれにも該当する者であること。
(1)開発区域が存する市町村又は隣接する市町村の市街化調整区域に自己又はその親族が20年以上居住している者
(2)現在、開発区域が存する市町村又は隣接する市町村の市街化調整区域に居住している者又は居住している親族を有する者
2 開発区域
開発区域の土地は、既存の集落に存する土地であって、次のいずれかに該当するものであること。ただし、当該土地が農地の場合で、農地法第5条許可を停止条件とした所有権移転仮登記を完了しているものを含む。
(1)開発行為を行う者が所有している土地
(2)開発行為を行う者の親族が所有している土地
3 予定建築物
予定建築物の用途は、自己の居住の用に供する専用住宅
※県から市町への権限譲渡等に伴い条例を有する市町においてはその条例に準ずる。”
が、埼玉県の基本となっております。
また、川越市の場合、埼玉県の「中核市」
として、権限が譲渡されていますので、
独自の条例を定める事ができます。
12号~川越市の場合~
川越市の条例については少し長いの転載を避けますが、
大事な部分だけピックアップさせていただきます。
以下の場合、川越市の調整区域に居住用の建物を
建てる事ができます。
自分が住む目的で建てる場合で、
次のいずれかに該当するもの
(1)1970年8月25日以前から自分または自分の親族が所有する土地
(2)川越市又は川越市に隣接する市町の市街化調整区域に1970年8月25日前から住んでいる親族を有する者が、1970年8月25日以前から自分又は自分の親族が所有する土地
(3)川越市又は川越市に隣接する市町の市街化調整区域の土地に20年以上居住する親族を有する者が建てる場合
※既存集落
(川越市の場合、おおむね50以上の建物が
おおむね50m以内の間隔で連なっている所)
である必要があります。
親族って?どこまで?
日本の民法では、6親等内の血族、配偶者、
3親等内の姻族を「親族」として定めています。
川越を含めて多くの市町村がこの定義にのっとって
いますが、稀に「3親等以内」などと条件をつけている
市町村もあるので、わからない場合はぜひアジア不動産
までお気軽にお尋ねください。
市街化調整区域の土地のメリット
①土地が広い
市街化調整区域の最大の特徴は
「(価格に対して)土地が広い」こと。
各市町村で最低敷地面積を定めており、
例えば、川越市の場合、最低面積
「200㎡以上」となっております。
土地が広い為、家の敷地を広くとっても、
広いお庭、駐車場なども余裕でとる事ができます。
②市街化区域に比べて安い
市街化調整区域の2つ目の特徴は
「市街化区域に比べて安い」という点です。
①とも関連してきますが、
気に入った土地でも予算的にあわず、
なくなく諦めてざるを得ないケース
もよくあります。
市街化調整区域なら土地が
比較的安く購入ができるので、
希望の条件を満たして、
なおかつ予算も合う事が多々あります。